キャリアプランニングとは？実施の手順やメリットを解説

就職活動や転職活動を行う際、どのような基準で就業先を選べば良いのか分からなくなってしまうことがあります。

企業の仕事内容や収入だけで判断してしまい、長い間働くうちに「こんなはずではなかった」と感じてしまう事態は、なんとしても避けたいものです。

このようなミスマッチを防ぎ、納得のいくキャリアを形成するために重要なのがキャリアプランニングです。

この記事では、キャリアプランニングが重要視されている理由やキャリアプランニングの具体的な手順について解説します。

キャリアプランニングとは

キャリアプランニングとは、自分が求めるキャリアについて考え、理想の働き方を実現するための計画を立てることです。

理想の働き方を実現するためには、具体的かつ無理のない計画を立て、着実に実行していくことが重要になります。

早い段階でキャリアプランを立てれば、その分早くから理想の姿を実現するために動き出すことができるでしょう。

キャリアビジョンとの違い

キャリアプランニングと混同されがちな言葉として、キャリアビジョンがあります。

いずれも自分の仕事やキャリアについての計画に関する言葉ですが、キャリアプランニングとキャリアビジョンは異なる意味合いを持っています。

キャリアプランニングは、自分の将来の働き方を設計することです。

思い描いた働き方を実現するために必要なスキルや経験など、具体的に達成可能な目標を立てていく過程のことを指します。

それに対し、キャリアビジョンは自分のなりたい理想像そのものを指します。

キャリアプランニングが重要視される理由

時代の移り変わりに伴い、終身雇用や年功序列の考え方が変化しつつあります。

現代では、生涯を通じた働き方は企業や他人によって強制されるものではなく、自分自身で考えて形成していくことが求められる時代となっています。

キャリアプランニングを行うことで、自分自身をどう成長させていき、どのような人生を歩みたいのかを見つめ直し、目標に向かって方向性を定めることが可能です。

企業や組織に守られるだけでなく、個人の力を強化して自分の人生を決めていかなければならない時代となっているため、自分自身のキャリアをどう考えるかが重要視されるようになりました。

キャリアプランニングを行うメリット

キャリアプランニングを行うことで就職先の方針が明らかになるという大きなメリットがありますが、キャリアプランニングがもたらすメリットはそれだけではありません。

キャリアプランニングを実施することで、「将来的にどのような働き方をしたいのか、そのためにどのような経験を積む必要があるのか」を意識して業務に取り組めるようになり、モチベーションの維持にもつながります。

その結果、高いパフォーマンスを保って仕事に向き合うことができ、生産性を向上させることが可能です。

また、効率良くスキルアップを進めることができるということも、キャリアプランニングを促進することのメリットとして挙げられます。

キャリアプランニングを実施すると、自分が今後の人生で身につけるべきスキルや知識が浮き彫りになり、方向性を定めることができます。

企業から推奨されるままに資格取得といったスキルアップを行ったとしても、身につけた技能を実務に活かすことができないということは意外と少なくありません。

キャリアプランを形成し、本当に自分に必要なスキルを検討しながら自己研鑽を積み重ねていくことで、効率良くスキルアップすることができるでしょう。

キャリアプランニングはどのような時に行う？

キャリアプランニングを行うのに最も適したタイミングは就職活動中です。

新卒で入社する企業を決める際に、将来的にどのような仕事をしたいかを考えることで、経験すべき業界や職種を明確にできます。

しかし、就職活動中にキャリアプランニングを行わなかったからといって焦る必要はありません。キャリアプランニングを実施するのは、社会人として数年働いてから転職活動を行うときでも遅くはないのです。

むしろ、転職活動中にキャリアプランニングを行うことで社会人としての経験を踏まえてより深く自分の人生に向き合うことができます。

また、異動や配置換えもキャリアプランニングを行うことが多いタイミングの一つです。

新たな職種や拠点での仕事を任されるときに自分の人生を見つめ直すことで、より良い選択肢を見つけるきっかけにつながるでしょう。

キャリアプランニングは全ての社会人に必要！

キャリアプランを実施することが多いタイミングは、就職活動中や転職活動中、異動や配置換えの時期などであることがわかりました。

キャリアプランニングは、全ての社会人にとって必要なプロセスです。

そのため、キャリアプランニングについて検討したことがない方は、今すぐにキャリアプランニングを実施してみることをおすすめします。

今後のキャリアに不安がある方はもちろんのこと、不安を感じていない方でもキャリアプランを形成することにより、今やるべきことは何かについて見つめ直すことができます。

キャリアプランニングを成功させるポイント

キャリアプランニングを成功させるためのポイントは、大きく分けて3つあります。

1. 経験にマッチしている
2. 将来的な展望とマッチしている
3. 具体性があり現実的である

これらのポイントを押さえておかなければ「キャリアプランがぼやけてしまう」や「達成の難しい目標を設定してしまう」などの失敗に繋がる恐れがあるため、あらかじめ理解をしておくことが肝心です。

1.経験にマッチしている

ある程度の社会人経験を積んだうえでキャリアプランニングを行う際は、自分の経験やスキルにマッチするキャリアを選択すると目標を達成できる可能性が高くなります。

自分のこれまでの経歴から大きく方向転換をしたキャリアを望む場合は、直接的な関係はなくても、業務で経験した内容をどう生かせるかを考えると良いでしょう。

2.将来的な展望とマッチしている

キャリアプランニングを行う際は、自分が心から望んでいる将来かを十分に検討しておく必要があります。

仮に、周りの人からの視線や期待をキャリアプランに反映させてしまうと自分の希望から外れてしまい、モチベーションの維持が困難になってしまうかもしれません。

本当に自分が望んでいるキャリアを設定することができれば、積極的に目標実現に向けて行動を起こすことができます。

キャリアプランを形成する際は、将来的な展望にマッチしているかどうかを常に振り返るようにしましょう。

3.具体性があり現実的である

キャリアプランを形成したら、その内容が実現可能なものであるかどうかを確認しなければなりません。

もし、キャリアプランがあまりにも現実からかけ離れているようであれば、実現可能な目標に修正する必要があります。

自己視点のみでキャリアプランニングを実施しようとしても、的確な軌道修正を行うことは難しいでしょう。

そこで、キャリアプランニング作成後に上司や人事担当者など、第三者の意見も取り入れて計画の妥当性を検討するのがおすすめです。

キャリアプランニングの流れ

ここまで、キャリアプランニングのメリットや重要性、キャリアプランニングを行う際の注意点などについて解説してきました。

実際にキャリアプランニングを行う場合、どのような流れで行うのでしょうか。

ここからは、キャリアプランニングを実施する場合の具体的な流れを解説します。

「キャリアの棚卸し」を実施する

まず最初に、「キャリアの棚卸し」を実施することからはじめます。

キャリアの棚卸しとは、これまでに経験した業務の内容や今までに培ってきたスキルや知識を洗い出し、整理する作業のことです。

これまでの社会人経験を整理することにより、キャリアプランを検討するために役立つ情報を揃えられます。

キャリアプランを具体的にする

キャリアの棚卸しが完了したら、キャリアプランを具体化する作業を行います。

キャリアプランを具体的に作成するのは簡単ではなく、比較的大変な作業です。

そこで、キャリアプランの作成を効率的に進めるうえでおすすめの手順を下記にて詳しく解説します。

1.自分自身の現状

「キャリアの棚卸し」で洗い出した自分の経験を見つめ直し、自分のアピールポイントや大切にしている考え方などを言語化します。

その際、ポジティブな側面だけでなく、自分の弱点や苦手なこと、できればやりたくないことなども踏み込んで検討することが大切です。

それらを踏まえてキャリアプランを作成することで、さらに有効な手がかりを掴むことができます。

2.自分自身の将来像

自分の理想の将来像を固めていき、自分の興味のある分野や得意分野、譲れない信念などを考慮します。

そのうえで5年後や10年後にどのようなキャリアを形成していきたいかを具体的に考えましょう。

具体的に想像するのが難しければ、身の回りの人物や著名人など、具体的な人物を思い浮かべて自分の理想とする姿に近いかどうかを考えると、明確な目標を思い浮かべやすくなります。

3.現状から将来までの道筋

自分自身の将来像を明確化することができたら、最後に目標を達成するための具体的な計画を作成します。

ただし、長いスパンで計画を作ってしまうとモチベーションの維持が難しかったり、達成難易度が上がってしまうことがあります。

そのため、短期ごとに達成しやすい難易度の目標を設定し、着実に目標達成に近づけるように工夫すると良いでしょう。

キャリアプランを実施する

具体的なキャリアプランを作成できたら、作成した計画に沿ってスキルアップや転職活動などの行動を起こしましょう。

計画通りに進められない場合は、その原因を考え、改善していきながらなるべく計画通りに進められるよう工夫することが大切です。

定期的に振り返り・評価を行う

キャリアプランニングは、人生をかけた大規模なプロジェクトとなるため、簡単に達成できないものです。

そこで、定期的に進捗状況を振り返り、自分自身で評価を行う必要があります。

当初の計画通りにキャリアの形成が進められず、大幅に計画を組み直さなければいけない場合や、理想とするキャリアビジョンが変わってきた場合は、キャリアプランニングを再度行ったほうが良いかもしません。

間違った方向に進み続けることのないよう、計画を見直す振り返りの時期をあらかじめ定めておくと良いでしょう。

プロのキャリアプランナーによるコンサル・セミナーも効果的

キャリアプランニングは個人で行うことも可能ですが、自分の客観視が苦手な場合は第三者の力を借りるとスムーズにプランを形成することができるようになります。

上司や人事担当者などに協力してもらいながら意見を取り入れることもありますが、転職を視野にいれたキャリアプランニングなどの場合は、社内に協力を求めるのが難しいかもしれません。

そのような場合は、キャリアプランナーからコンサルティングを受けたり、キャリアプランニングに関するセミナーを受講することをおすすめします。

プロのキャリアプランナーは、さまざまな業界や職種の方をコンサルティングしてきているため、的確なアドバイスを受けることができます。

「はじめてのキャリアプランニングで自信がない」「個人でキャリアプランを立てるのが難しい」という人は、一度プロのキャリアプランナーに相談してみましょう。

まとめ

ここまで、キャリアプランニングのメリットや具体的な手順などについて解説しました。

時代の変化により、年功序列や終身雇用などの考え方が衰退してきており、現在では個人のキャリアプランを自分で決めなければならない時代になってきています。

そのため、自分で理想の将来像を設定し、そこに行き着くまでの計画を立てるキャリアプランニングの重要性がますます高まっています。

キャリアプランニングを実施する場合は、まず自分自身の経歴やスキルを洗い出し、アピールできるポイントを明らかにしましょう。

もし、個人でキャリアプランニングをすることが難しいという場合は、プロのキャリアプランナーに相談することで質の高いキャリアプランを作成することができます。

特に転職活動を行う場合に初めてのキャリアプランニングを行う場合は、キャリアプランナーへの相談を検討してみてはいかがでしょうか。